2025-11-11営業時間
【注意】受電設備の機器更新を行っていますか?
1.事故原因の多くが機器の保守不備
先日、関東東北産業保安監督部より令和6年度の事故発生状況について発表がありました。
この資料によると、令和6年度、関東東北産業保安監督部の管内での波及事故は52件だったそうです。
そして、そのうちの6割超にあたる32件が「保守不備」が原因とされています。

関東東北産業保安監督部 資料より
報告書によると、保守不備とは「巡視、点検、手入れ等の保守の不完全によるもの(保守不完全)や、製作、施工及び保守に特に欠陥がなかったにもかかわらず、電気工作物の材質、機構等に劣化を生じたもの(自然劣化)等」となっております。
個別の原因については発表されていないので不明ですが、後半の「電気工作物の材質、機構等に劣化を生じたもの(自然劣化)」は、よく起こる事例だと思います。
特に電気設備は常に電気が流れることで熱や振動の影響を受けますし、屋外であれば温度や湿度の変化も影響します。
そのため、メーカーや業界団体では定期的な機器更新を推奨しております。
2.機器更新の時期の目安について
以下の表は一般財団法人日本電機工業会のリーフレットに記載されている機器更新の時期の目安です。

各機器の更新推奨時期(一般社団法人日本電機工業会)
この表の時期を目安にすると、およそ2005年~2010年より前に設置した機器についてはそろそろ交換が必要になると考えられます。
実際に点検していると、それを超えて使用している機器はありますが、やはりお勧めはできません。
外観だけでは劣化状況がわかりにくいですし、年に1度の点検だけでは翌年も異常がないという保証はありません。
実際に、1年前の点検で異常がなかったのに、今回の点検では壊れていた、というケースもあります。
ただし、この表の年数はあくまで参考値です。
このリーフレットにも「各機器の環境条件、運転条件、設備の重要性、経過年数などに影響されます」とあります。
更新が必要か気になる方は、主任技術者へ確認するといいと思います。
3.各高圧機器の役割
ここから各機器の役割を簡単にご説明します。
(1)高圧交流負荷開閉器

柱上高圧交流負荷開閉器(PAS)(屋外用)-戸上電機製作所より

高圧交流負荷開閉器(LBS)(屋内用)-三菱電機より
開閉器とはスイッチのことです。
電気の使用中に入り切りができます。
万が一、電気を使いすぎたときなどは、別に取り付けたセンサーが反応して
自動的に電気を切ってくれます。
これが経年劣化で動作しないと、最悪の場合は電力会社側で停電になり
近隣を巻き込んだ「波及事故」ということにもなりかねません。

SOG制御装置-戸上電機製作所より
こちらはそのセンサーの一種、「SOG制御装置」です。
(2)断路器

断路器-三菱電機より
断路器もスイッチの一種です。
開閉器との違いとして、断路器は電気を使用しているときに入り切りできません。
何も使っていない状態で操作します。
そのため、異常があった際に電気を切る役割ではなく
点検の時などに安全に作業するために使います。
(3)避雷器

避雷器-音羽電機工業より
避雷針のほうがなじみがあるかもしれません。
避雷器も雷が落ちた時に安全に電気を放電させるためのものです。
避雷針は雷から建物を守るもので、避雷器は建物の中の機器を守るものです。
避雷器が機能しなくなると、ほかの機器の破損などに影響するので点検・更新が必要です。
(4)交流遮断器

高圧真空遮断器-三菱電機

配線用遮断器-三菱電機より
遮断器とは言葉の通り電気を「遮断」することができるものです。
ショートした時など、とても大きな電流が流れても電気を切ることができます。
逆に遮断器が正常に動作しないと、電力会社側で停電になってしまうこともあり得ます。
(5)計器用変成器

計器用変成器-三菱電機より
計器用変成器とは、計器(メーター)用の変成器(変圧器・変流器)のことです。
そのままでは大きな電圧や電流を、メーターに適した大きさに変換するものです。
これが壊れると、正確に電流の大きさを測定できず、
異常があっても電気を切ることができない、という事態になる恐れがあります。
(6)保護継電器

地絡継電器-オムロンより

過電流継電器-三菱電機より
保護継電器とは、開閉器を動作させるセンサーのような役割をします。
電気を使いすぎたり、電気がどこかで漏れてしまったときに、
これを検知して開閉器や遮断器に信号を送ります。
保護継電器が正常に働かないと、事故の時に電気を止めることができません。
開閉器や遮断器とともに、特に点検・更新に気をつけたい機器です。
(7)高圧限流ヒューズ

高圧限流ヒューズ-三菱電機より
ヒューズは一定以上の電気が流れると切れます。
電気を使いすぎた時や、ショートしたときに安全のために電気を止める役割があります。
開閉器に取り付けて使うことが多いです。
(8)高圧交流電磁接触器

真空電磁接触器-三菱電機より
電磁接触器とはスイッチの一種です。
電磁力の力で入り切りするスイッチで、コンデンサなどの頻繁に入り切りするような機器に使用します。
(9)高圧進相コンデンサ、直列リアクトル、放電コイル

進相コンデンサ-三菱電機より
進相コンデンサとは、力率を調整するために設置します。
通常、電気機器を使用すると力率が遅れ力率となるのですが、
これを進めて100%に近付けるために進相コンデンサを設置します。
力率についての解説は、こちらのパナソニックのホームページにわかりやすく説明されているので、
気になる方はご覧ください。

直列リアクトル-三菱電機より
直列リアクトルは、電子機器などに悪影響の出る「高調波」と呼ばれる電気を減少させるために設置します。
通常、進相コンデンサとつなげて設置します。

放電コイル-三菱電機より
コンデンサというのは、電気を蓄える性質があります。
そのため、点検や工事の際に電気を止めても、コンデンサの中に電気が残ってしまいます。
この残った電気を放電するために設置するのが、放電コイルです。
(10)高圧配電用変圧器

配電用変圧器-三菱電機より
変圧器は、電力会社から送られた高圧(6600Vなど)の電気を、低圧の電気(100Vや200V)に変換します。
変圧器が故障してしまうと、建物内で電気が使えなくなってしまうので、こちらも定期的な更新が必要です。
4.高圧機器は定期的に更新しましょう
今回記載がなかった機器でも、以下のようなものが更新対象になります。
・ケーブル、電線
・支柱、配管
・キュービクル筐体
電気は様々なものに使っており、停電してしまうと経済活動にも日常生活にも甚大な影響があります。
安全に電気を使用し続けるためにも、定期的な更新をお勧めします。
当社、電気検査協会では機器更新工事も承っております。
保安業務委託と併せて、お気軽にお問い合わせください。

